「私のような報道の人間からすると、子ども向け番組の制作者たちは、そんなことも知らないの?というくらいニュースを知らなかったんです。出演する子どもたちも素朴な質問をしてくれる。もっと解きほぐして説明しないと伝わらないと気がつきました」

 わかりやすくするコツは「アウトプットを意識したインプット」だと語る。専門書を読みながら、これを小学生に説明するにはどうすればいいかを考える。

「問題意識を持って読んでいくと、面白いように理解できるんです。期末試験の勉強で友だちと教え合うと理解が進むのと同じことだと思います」

 では、普段から国際情勢を知るにはどうすればいいのか。池上さんは新聞の国際面を読むことを勧める。池上さんが注目するのは1段十数行の小さなベタ記事だ。それが将来、大きなニュースになっていくかどうかを追っていく。

「どの国も自分たちがいちばんというプライドを持っています。今後いろいろな国と付き合っていくときに、その思惑を知っておくことが大事だと思います」

(ライター・仲宇佐ゆり)

AERA 2023年11月13日号