愛産大三河高時代の上田

 ドラフト終了後に複雑な表情を見せたのが、他球団のスカウトだった。

「できれば上田を欲しかったですね……。1位でどこも指名がなければ、ウェーバーの2位で獲得できる可能性があった。今年は投手が豊作だったので優先順位が下がりましたが、野手では度会と遜色ない実力です。バットコントロールが上手く、パンチ力もある中距離打者で、打撃スタイルが明大の先輩・佐野恵太(DeNA)と重なる。ボール球に手を出さないから出塁率も高い。1年目から内野でレギュラーをつかみ、新人王の有力候補になる可能性が十分にあります」

 愛産大三河高で左の強打者として名を轟かせ、明大に進学すると1年秋に「4番・一塁」でレギュラーをつかみ、打率.344をマーク。3年の時はリーグ戦春秋連覇、神宮大会優勝を飾る原動力となり、4年春もリーグ3連覇を達成した。卓越したミート能力で広角に安打を打ち分け、勝負強い。4年秋も打率.304、1本塁打、12打点を記録し、歴代単独4位のリーグ通算74打点に到達した。

 アマチュア野球を取材する記者は、上田についてこう評する。

「打撃はセンスの塊です。パワーがある割に本塁打が少ないのは難しい球を安打にする技術があるから。プロで技術を磨けば打率を残すだけでなく、本塁打が自然と増えるでしょう。4年時に主将を務めましたが、責任感が強く選手たちの人望が厚い。リーダーシップがありチームの中心になれる選手だと思います。ポジションは三塁が本職ですが、一塁、二塁、左翼を守った経験がある。試合に出場するためにどこのポジションでも守る覚悟はあると思います。打撃がストロングポイントなので2月の春季キャンプからアピールしていきたいですね」

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来年は上田と三塁のレギュラー争いに