その時気づいたのは、賢い金持ちは円安を望んでいるということだ。庶民とは完全に逆である。
岸田首相はまた、年末までと予定していたガソリンや電気・ガス料金向けの補助を延長すると表明したが、この政策は、レクサスに乗ってガソリンを大量消費しながら週末にはゴルフや旅行を楽しむというような富裕層に多大な恩恵をもたらす。もちろん、温暖化対策には完全にマイナスだ。
日本の財政状況や需給ギャップの解消と物価高騰という状況を考えれば、本来は、需要創出のための対策は必要ない。減税もガソリン、電気・ガス代補助もやめるべきだ。
一方、働いているのに三度の食事もままならない母子家庭があるというような状況は放置できない。そのため、広く薄くの減税や給付はやめて、真に困窮している層に限定して、より手厚い支援をすべきだ。
また、欧州諸国で行われているように、円安でボロ儲けしているトヨタや資源エネルギー高で儲ける企業などに「棚ボタ税」をかけて貧困者対策の原資の一部とすることも必要だ。
それにしても、自民党による無責任な経済政策が続くのはなぜなのか。その最大の原因は、政治家の間に財政再建などどうでも良いという風潮が広がっていることだ。
「これだけ庶民が苦しんでいるのだから、思い切り財政出動するのは当然だ。そんな時に財政規律などという話をするのは、財務省の手先に違いない」という声は、自民党だけでなく野党の間からも聞こえる。