どちらも天皇家のただ一人の内親王。実際、愛子さまと清子さんには共通点が少なくない。日本の古典や盲導犬などに関心があること。そして、ちょっとした会話にもユーモアを交える明るさもそうだ。
愛子さまは成年を迎えての記者会見で、栃木県の那須御用邸で縁側にあるソファで朝まで寝てしまったことや、静岡県の須崎御用邸の海でサーフボードの上に座ろうとした家族3人全員が落ちたエピソードを披露し、場の空気を和ませた。
一方、紀宮時代の清子さんは、結婚を翌年に控えた04年12月31日の朝日新聞に、担当記者がこんなエピソードを紹介している。
1998年、皇后だった美智子さまがインドでの国際児童図書評議会(IBBY)世界大会に寄せたビデオ講演は、テレビでも放映された。
〈その収録前後のことだ。初めてのこととあって、さすがの皇后さまも緊張の極みにあった時――
「裏番組は何ですか? ああSMAP×SMAPですか。それじゃあ勝ち目ありませんねえ」
この紀宮さまのひと言で、どっと笑いが起き、緊張はほぐれたという。ちゃめっ気の裏に、人の気持ちをおもんぱかってユーモアで和ませる度量をうかがわせるエピソードだ〉
「わきまえる」聡明さ
叔母とめいの間柄だけあって、お二人がまとう空気感はどことなく似ている。共通するのは「場の空気を自然と把握できる資質」であると、山下さんは分析する。
昭和の終わりから平成にかけての「皇太子・天皇ご一家」であった上皇さまと美智子さま、天皇陛下と秋篠宮さま、そして清子さん。
「控えめで、決して必要以上に前に出ない。一方で冷静に状況を見極め、何かあったときにご家族を上手くまとめる調整役を担っていたのは清子さん。当時の職員はそう見ていたと思います」