巨人から今季移籍し本塁打王を獲得したボランコ

 過去に巨人から他球団にFA移籍した選手で、中田と置かれた境遇が近いのが駒田徳広(現巨人3軍監督)だ。巨人では「満塁男」の異名を取り、満塁のチャンスで勝負強さを発揮。190センチを超える長身だが、ミート能力に定評がある中距離打者で広角に安打を量産した。中田と同様に一塁で守備の名手として知られ、ゴールデングラブ賞を10度受賞している。レギュラーとして長年活躍していたが、1993年オフに本職が一塁の中日・落合博満が巨人にFA移籍することが濃厚に。落合が加入すれば駒田の出場機会が大幅に減少することが予想されたなか、FA権を行使。複数球団による争奪戦の末、横浜(現DeNA)に入団した。

 新天地では移籍1年目の94年から6年連続140安打以上を記録。主力に若手選手が多いなか、精神的支柱としてもその存在感は大きかった。98年に38年ぶりのリーグ優勝、日本一に貢献。2000年に通算2000安打を達成した。

 当時、横浜を取材した記者は、「駒田さんは頼もしかった。巨人で何度も優勝を経験しているし修羅場をくぐり抜けている。強いリーダーシップを発揮したわけではなく一歩引いてチームを見ていた感じだったけど、石井琢朗さん(現DeNAチーフ打撃コーチ)や主力選手の相談に乗って頼りにされていた。若手だけではチームは勝てない。経験豊富なベテランの重要性を感じました。あのまま巨人にいたら引退のタイミングはもっと早かったでしょう。横浜にFA移籍した決断は正解だったと思います」と振り返る。

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