
1回目のジャニーズ会見での「失敗」
澤田氏の場合、後に大麻と判明した植物片を12日間、学校に保管していたことも問題視された。日大の林真理子理事長は、澤田氏に辞任を求めたと複数のメディアが報じている。
一方、木目田氏の場合はどこに問題があったのか。
「9月7日に開かれた1回目の会見で東山紀之さんの社長就任が発表され、賛否両論が巻き起こりました。この判断が大変拙かったことは否定できません。性加害問題が国際的にも厳しい批判を受け、事務所は、社会的にその存在自体が許されなくなっていたわけです。その組織の中でタレントとして中枢にいた人物を経営トップにしたのでは、危機対応自体が成り立たない。こうしたことを危機管理に関わる弁護士として強く指摘すべきでした」
弁護士にとって、依頼主との関係は常に悩ましい。郷原氏は「一般的に、企業の危機対応を依頼してくるのは、クライアント企業の経営者や担当役員個人です」と指摘する。
「弁護士は依頼主個人の意向に沿った対応をするのが一般的です。『長いものには巻かれない』がモットーの私の場合は、少し違います。問題の本質から解決を図るというポリシーにこだわります。例えば2011年の『やらせメール問題』の第三者委員会委員長として、私は九州電力経営陣と激しく対立しました。その結果、横並び意識の強い全国の電力会社から私に対して仕事の依頼は一切、ありません。しかし、会社を守るために、弁護士は経営陣の意向に反対しなければならない場面も出てきます」(同)