日大の澤田康広副学長(左)とジャニーズ事務所の会見に出席した木目田裕弁護士

 2023年も残るところ、あと2カ月強。今年の不祥事を振り返ると、危機管理に最も失敗したケースとして、日本大学とジャニーズ事務所(現・SMILE-UP.)の名前が挙がるのは必然だろう。

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 くしくも、この2つの組織で危機管理を担った2人の法曹家は、共に元検察官という経歴を持っている。前者は澤田康広副学長で、後者は木目田裕弁護士だ。

「澤田氏は母校が日本大学です。検察庁に入庁すると東京、大阪、山口などの地検に勤務。2011年4月に山口地検の次席検事、16年に宇都宮地検の次席検事に就任し、18年に退任しました。木目田氏は東京大学法学部を卒業し、入庁すると1997年に東京地検特捜部、99年に法務省刑事局、2001年に金融庁で勤務しています」(週刊誌記者)

 共にいわゆる“ヤメ検”弁護士だが、対照的な経歴と言えるだろう。沢田氏は捜査の最前線に立ち続けた。木目田氏は法務官僚としてのキャリアもあり、東大卒らしいエリートコースを歩んできた。

「日大はアメリカンフットボール部の大麻問題で、ジャニーズ事務所は創業者の性加害の問題で、共に記者会見を開きました。澤田氏は常に仏頂面で、『ブツ』や『パケ』といった専門用語を乱発。『態度が横柄だ』などとネットでも厳しい批判が相次ぎました。一方、ジャニーズの場合は記者会見が荒れ、ジャニーズ側にも記者側にも厳しい批判が相次ぎました。しかし、木目田氏個人には、特に批判めいた意見は少なかったように思います」(同)

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井荻稔

井荻稔

ライター。福岡県出身。大手新聞社で主にサツ回りとしてキャリアを積んだあと、主に週刊誌やネットメディアで記事を執筆。フィールドはカルチャーから政治まで広いがゆえに、逆に得意分野はなし。趣味は映画鑑賞と暴飲暴食。

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「自分も権力を持っている」と勘違い