宇野昌磨(25)/夏の「ワンピース・オン・アイス」では「喜怒哀楽がある役で、お客さん一人一人にどうやれば表情が伝わるのかを初めて学びました」
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 フィギュアスケートの2023-24シーズンのグランプリ(GP)シリーズがいよいよ開幕。日本男子選手たちが今季の抱負と戦略を語った。AERA 2023年10月23日号より。

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 昨季はGPファイナル、世界選手権連覇と2冠を手にした宇野昌磨(25)は、今季はスロースタート。国内大会などで調整せず、11月の中国杯がシーズン初戦となる。

「この2年、自分が思っていた以上の結果を出すことができましたが、演技に関しては、もう一度見たいと思えるものができていませんでした。ジャンプが跳べたかどうかばかり考えてしまい、つらい部分もありました。オフにアイスショーに出て、『何が自分を満足させられるのか』を考え直した時に、表現力を頑張りたいなと思いました」(宇野)

 ショートはコーチのステファン・ランビエル氏に、フリーは宮本賢二氏に振り付けを依頼。

「ショートは、例年よりクオリティーの高いものがお見せできると思います。フリーは挑戦的で、ジャンプを跳ぶ前ギリギリまで表現を意識するような内容になっているので、シーズンを通して自分が感動するようなフリーにしたいです」(宇野)

 10月7日にはアイスショーでフリーを初披露。ねっとりとしたスケーティングが、渦のような空気の流れを作り、それが観客へと伝わる。人間ではない生物に変身したような表現力に、大喝采が起きた。

「今季は結果を求めずに、自己満足のために表現力を頑張っていきたいです」(宇野)

 また鍵山優真(20)は、復帰のシーズンとなる。昨季は左足の疲労骨折で休養し、唯一出場した全日本選手権も8位。今季はソチ五輪銅メダリストのカロリーナ・コストナーをコーチに加え、万全の体制で臨む。

鍵山優真(20)/復帰のシーズン。国内外の試合ですでに試合勘を取り戻し、2種類の4回転も好調。「GPシリーズでは4回転フリップも入れられたら」

「ジャンプや技術の細かい部分は父(正和コーチ)に教わってきましたが、コストナー先生からは表現やスケーティングの伸びなどを教わっています」(鍵山)

 コストナーの芸術的な表現と美しい滑りが伝授される意義は大きい。

「進撃の巨人」を意識

 また、昨季の四大陸選手権王者の三浦佳生(18)は鼻息が荒い。ショートは、コンテンポラリーダンス系に挑戦する。坂本花織(23)の振り付けなどで知られるブノワ・リショーによる難度の高い振り付けだ。

「オフバランスの動きが多くて大変なプログラム。自分がレベルアップするために必要な動きになるので頑張ります」(三浦)

 フリーでは、自身が好きなアニメ「進撃の巨人」を選んだ。

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