「三つ目の場面は、調査兵団のライナーが格好いいシーン。自分自身はライナーに近いかなと感じているので、彼の疾走感を意識して滑っていきたいです」(三浦)
昨季のGPファイナル銀メダリストの山本草太(23)も、気合が入る。ショートは、初めてデイビッド・ウィルソンに振り付けを依頼した「カメレオン」。
「羽生結弦さんの“ロミジュリ”など代表作を作った方。振り付けていただいて、とても挑戦的な曲ですが、新しい発見がたくさんありました。『ニュー草太』をみせたいです」(山本)
9月の中部選手権では、ショートとフリーで合計5本の4回転ジャンプを成功させた。
「昨季はGPファイナルにも行くことができましたが、シーズン後半に悔しい思いをしました。今季は、新たな挑戦だと思って滑り抜きます」(山本)
昨季世界選手権6位の友野一希(25)は、世界の表彰台へリベンジのシーズンとなる。
「世界の舞台でなかなかメダルに手が届かずにいて、昨季は詰めの甘さを感じました。『メダルを狙う』と言っていちゃダメ。優勝できるくらいの練習を積むことが今季の目標です」(友野)
9月のネーベルホルン杯では、計4本の4回転を成功。10月7日のジャパンオープンでも、フリーで2種類の4回転を降りた。
「まだ演技には納得していません。一つ一つのポジション、身体の使い方、力の抜け具合などを改善していきたいです」(友野)
全日本2位の島田高志郎(22)は、アーティスティックな演技で観客を魅了する。ショートは「シング・シング・シング」で軽快なステップを披露。フリーは「死の舞踏」で、長い手足を生かしたダイナミックな動きで「死」を演じる。
「今季の挑戦は、フリープログラム。まだ、お客さんが感動で心が震えるというところまでは及んでいないので、自分にしか出せない特別な世界観を大事にして滑り込んでいきます」(島田)
アーティストとして成長した先に、GP表彰台が待っている。
佐藤駿(19)は、5月にモントリオール合宿を行い、北京五輪アイスダンス金メダルのギヨーム・シゼロンから、スケーティングを徹底的に学んだ。
「『膝のアップダウンが使えていない』と言われたことが印象的でした。今は滑ることそのものが楽しいという感情が湧いてきています」(佐藤)
また、今季は5種類の4回転を練習中。フィンランディア杯では、ショートで4回転フリップに挑戦し、フリーでは華麗な4回転ルッツを成功させた。
「試合ではその時に調子が良いものを選んでいきたい」(佐藤)
(ライター・野口美恵)
※AERA 2023年10月23日号より抜粋