(写真はイメージ/GettyImages)

 パソコン作業は疲れるものとほとんどの人が思っている。しかし、実はその疲れは、パソコンの位置や椅子の高さが原因の場合もあり、デスク環境を整えるだけで、疲れにくくなることもあるという。多くの現役アスリートも通うトレーニングジム「IPF」代表のカリスマ最強トレーナー・清水忍さんが監修した『運動習慣ゼロの人のための疲れない動けるからだをつくるテク』(朝日新聞出版)から、パソコン作業で疲労がたまるNGなデスク環境を紹介する。

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パソコンが体の横にあると何が起きるのか

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

 パソコンが体の横にあると、それに合わせて頭や上体だけ向きを変えて作業し続けることもできてしまいます。このときの体は、上体と骨盤が別の方向を向き、また、頭の重さを支えて重心をとるために首や背中などの筋肉が左右でアンバランスに使われている状態です。

長時間続けると、首や肩、背中のこりが起こるうえ、骨盤がゆがんで姿勢が横に傾くようになってしまいます。

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

つまり、パソコンを横に置くと、

ということになります。

 基本の姿勢が横に傾き全身がアンバランスに。骨盤が横にゆがんだ状態でカラダに定着。

そのせいで、姿勢はずっと横に傾くことになるのです。また、首の胸鎖乳突筋やお腹の腹斜筋を無理に使った状態が続くので、こりの原因にもなります。

椅子が高くパソコンが顔より低いのはNG

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

 椅子に座って目線がパソコンより高い位置にあると、目線を合わせようとして前かがみになりがちです。パソコン作業は、ただでさえ目のまわりの筋肉を酷使し、つられて首や肩も緊張しやすくなるもの。

 それに加えて姿勢が前かがみになると、頭の重さが余計に首や肩にかかり、大きな負担になります。また、椅子が高いせいで足が床から浮いて重心が不安定になることも、疲れの原因です。

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

つまり、パソコンが低い位置にあると、

ということになります。

 頭の重さが、首の頭板状筋、肩の僧帽筋上部、背中の僧帽筋中部、腰の脊柱起立筋などに不自然にかかるため、緊張状態になり、肩こりに悩まされやすく、背や巻き肩にもなりやすいのです。

パソコンは目線のまっすぐ前に置く

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

 パソコンに対して、全身が正面を向いた状態になるのが理想的です。目線がまっすぐになるよう、椅子の高さも調節しましょう。椅子が高すぎると、目線を合わせようとして前のめりになってしまいます。

(イラスト/ひらのんさ なかざわとも)

つまり、パソコン作業で疲れない姿勢とは、

ということになります。

 パソコン作業をするときに体にとって最もラクなのは、パソコンを正面に置き、体全体が骨盤と同じ方向を向いている状態。また、頭の重さが体の中心にかかっているニュートラルな状態にするのもポイントです。

 仕事上、資料を見ながらのタイピングなどが多く、パソコンが体の横に置いてあるなら要注意。すぐに正面へ移動させ、全身がまっすぐパソコンを向くようにしましょう。

(構成 生活・文化編集部 森 香織)