その「開いた2強」の間に入って来ると期待されていた中央大も、出雲は“失敗"した。今春の箱根で総合2位。2区で区間賞の走りを見せたエース・吉居大和(4年)に加え、1区4位の溜池一太(2年)、3区区間賞の中野翔太(4年)、4区区間5位の吉居駿恭(2年)、5区で区間3位の阿部陽樹(3年)と箱根の往路メンバー全員がチームに残っており、出雲では駒澤大の対抗馬として挙げられた。だが、エースの吉居大和が欠場し、1区で浦田優斗(3年)が13位と出遅れると、3区の吉居駿恭も区間11位と振るわず。結果、期待を大きく裏切る7位に終わった。エースの吉居大和の欠場理由は「過密日程」と「コロナ感染の影響」と説明されたが、1カ月後の全日本でコンディションを万全にできるかどうか。勢いに乗れば駒澤大を脅かせるはずだが、その勢いを出雲で掴めなかったのは気がかりだ。

 現状では國學院大の方が「打倒・駒澤」の一番手として相応しいかも知れない。出雲2位、全日本2位、箱根4位といずれも上位を争った昨年度のチームを支えた「4本柱」から、伊地知賢造(4年)、平林清澄(3年)、山本歩夢(3年)の3人が健在だ。彼らに続く存在として、佐藤快成(3年)、上原琉翔(2年)、青木瑠郁(2年)、高山豪起(2年)といった面々もタイムを伸ばして選手層は厚くなっている。高速レースの出雲路では「3本柱」が及第点止まりの走りに終わって駒澤大と3分16秒差の4位に終わったが、距離が伸びる全日本、箱根では巻き返しの可能性は十分にある。

 出雲で10位に終わった順天堂大も、まだまだ力を秘めているチームだ。出雲では、佐久長聖高時代に高校記録を塗り替えたスーパールーキー・吉岡大翔(1年)が1区で出走して大学駅伝デビューを飾ったが、結果は11位。2区以降も巻き返すことはできなかった。それでも吉岡は今後の日本の長距離界を背負って立つ人材であることは間違いなく、この出雲での悔しさをバネにして、全日本、そして箱根での快走を期待したいところ。そしてこのチームには五輪出場経験のある三浦龍司(4年)がいる。出雲は出走しなかったが、この男にタスキが渡れば、レース全体の景色が変わってくるはずだ。

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出雲に未出場で注目の大学も