2年連続で出雲駅伝のアンカーを務めた駒澤大・鈴木芽吹
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 長く続いた猛暑がようやく和らぐと同時に“熱い"大学駅伝シーズンが到来した。その初陣として10月9日に行われた出雲駅伝では駒澤大が圧勝したが、今後予定される全日本駅伝(11月5日)、そして箱根駅伝(2024年1月2、3日)は果たしてどうなるか。今年度の大学駅伝の「勢力図」を見てみたい。

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 駒澤大は出雲路で変わらぬ“強さ"を見せつけた。史上5校目の大学駅伝三冠を達成した昨年度のチームから大エース・田澤廉が卒業し、大八木弘明監督も勇退した。新たに藤田敦史監督のもとでスタートを切ったチームに不安がなかった訳ではないが、初戦となった出雲で圧勝。1区・篠原倖太朗(3年)、2区・佐藤圭汰(2年)がともに区間賞で先行すると、3区・山川拓馬(2年)、4区・伊藤蒼唯(2年)、5区・安原太陽(4年)が区間2位もしくは3位と安定したタスキリレーを見せ、最終6区はキャプテンの鈴木芽吹(4年)が貫禄の走り。1度もトップの座を譲らない完全優勝で、大会新記録のオマケ付きだった。

 改めて駒澤大の今年度のチーム編成を見ても、昨年度の三冠メンバーから出雲は6区間中4人、全日本は8区間中5人、箱根は10区間中7人が残っており、依然として選手層は厚い。個々の能力を見ても、篠原はハーフマラソンの日本人学生歴代1位の記録を持ち、佐藤は5000mのU20日本記録保持者、そして鈴木は10000mの日本人歴代3位のタイムを持つなど、いずれも学生長距離界トップクラスの実力者が揃う。「怪我」と「重圧」が最大の敵になるが、出雲路を制した今、史上初となる“2年連続三冠達成"へ向けての視界はすこぶる良好だ。

 一方、長くライバル関係を続けてきた青山学院大は、不安が膨らむ出雲になった。1区で野村昭夢(3年)が7位と出遅れた後、2区の黒田朝日(2年)、3区の佐藤一世(4年)、4区の山内健登(4年)は好走したが、5区に抜擢した鳥井健太(1年)が区間10位と失速。最終的に駒澤大と3分37秒差の5位フィニッシュとなった。今春の箱根では10区中7区間を4年生が務めた「最強世代」が卒業したことで、大幅な戦力低下と経験値不足は否めず。1、2年生の成長が期待でき、チーム全体の底上げはされてはいるが、今後へ向けては期待よりも不安の方が大きい。ここ数年「2強」と言われた駒澤大との力関係は、現時点で大きく開いていると言わざるを得ない。

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