会見中の井ノ原快彦氏の発言は「トーン・ポリシングだ」という批判も(撮影/写真映像部・松永卓也)

 会見では、ずっと指名されない望月氏らが声を上げることもあったが、新会社の副社長となる井ノ原快彦氏が「みなさん、ちょっと落ち着いて。冷静に話し合いしていきましょう」「子どもたちも会見を見ている。子どもにはルールを守る大人たちの姿を見せていきたい」などと、いさめる場面もあった。

 望月氏はこれに対して大きな違和感を抱いたという。井ノ原氏の発言について「これはどうみてもトーン・ポリシング(相手の訴えの内容ではなく、言い方や行動が悪いという理由で却下したりすること)です」と言い、こう続ける。

「加害者側の人間が『落ち着いてください』とたしなめることで、論理をすり替えています。ヒステリックに怒鳴っている女をたしなめる“わかっている男”みたいな構図にしたわけです。たぶん、私が女性でNGリストに入っている記者だということが頭の中にはあったはずです。私は指名されずにしゃべれないからこそシャウトするし、マイクがないならやっぱり直接声を出すしかない」

 井ノ原氏の言葉に記者席から拍手が起きたことについては、こう批判する。

ジャニーズ事務所はもうとっくにつぶれてしかるべき会社なわけですから、そもそも拍手なんかもらえることがおかしい。ジャニーズの巧妙な仕込みもあったかもしれません」

 前出の本間氏もこう憤る。

「もう一回、仕切り直して、会見をすべきだと思います」

 再び地に落ちた信用をジャニーズ事務所が取り戻すには、無制限で徹底的に質問を受け、何時間でもそれに答えるような会見を開くしかないだろう。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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