そして、自分の発言によって自分を鼓舞するのが北島という選手だった。自分の言ったことに対して責任を持ち、それを成し遂げるんだという強い意志こそが、北島が北島たる由縁でもあった。その姿が多くの選手から尊敬を集めたからこそ、彼は日本チームの柱となった。

 そして今大会、男子キャプテンを命じられた本多の姿からは、いつもの笑顔の裏に責任感が見え隠れするようになった。常にチームメイトの状況に気を配り、声を掛けたり、掛けられたりする姿をよく見かけるようになった。本多がいる場所には笑顔が溢れ、他の選手たちも含めてどこか前向きに物事を捉えようとする雰囲気が感じられるようになった。

 日大藤沢高校時代にもキャプテンを務め、今年は日本大学の副キャプテンとしてチームを率いた。元々、非常にリーダーシップに満ちあふれた人材なのである。

 日本代表チームが団結し、卓越したチーム力を発揮してきた時代には、必ず柱となる選手がいた。そこに今、本多が座ろうとしている。それが分かったこのアジア競技大会は、日本水泳界にとって未来を照らす、一筋の光が見えたのではないだろうか。

 これを言うと、きっと本多は「いやいや、僕はそんな器じゃないっす」と笑うだろう。でも、そのあとにきっとこう続けてくれるはずだ。「でも、与えられた役割はきちっと果たします。キャプテンとして、団結してみんなで戦えるようなチームにしていきます」と。

 本多を中心として、再起する日本代表チーム。その行く末をしっかりと見届けたい。

(文・田坂友暁)
 

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