アジア大会では日本男子のキャプテンを務めた本多灯
この記事の写真をすべて見る

【大躍進の中国と韓国に対し、5個の金メダルに留まった日本】

【写真】史上最年少14歳で代表入り 日本AS界の期待の新星がこちら

 本来であれば五輪の中間年に開催されるアジア競技大会。東京五輪の延期もあったが、2022年になっても収まらないコロナ禍の影響で1年延期され、あらためて今年に開催を迎えたのが、第19回アジア競技大会(2022/杭州)だ。

 競泳競技は、体操や卓球、柔道、スケートボードなどと同じように、9月23日の開会式の翌日から競技がスタート。全6日間、41種目でアジアの覇権争いが行われた。

 振り返ると、今回と同じ種目数となった前回のジャカルタ・パレンバン大会(2018年)では、池江璃花子の6冠MVPなどの活躍もあり、過去最高となる19もの金メダルを獲得。2014年の仁川大会では12個(種目数は38)と、2桁以上の金メダルを獲得する活躍を見せていた。

 ただ、中国で開催された1990年の北京大会と2010年の広州大会では、7個と9個という1桁台に。これは自国開催となる中国が力を入れている証拠ともとれる。

 そして、アジア競技大会3回目となる中国開催となった今大会も中国が大躍進し、28個もの金メダルを獲得。銀メダル、銅メダルも合わせた総メダル数でいえば、なんと58個ものメダルを奪い取った。

 一方で日本はというと、金メダルが5個、銀メダルが10個に銅メダルが15個の、合計30個のメダル数となった。金メダルの数で言えば、今大会は韓国にも敗れた(韓国は6個)。

 7月の世界水泳選手権2023福岡大会以後、強化体制に対して厳しい目が向けられているなか、メダルの数だけをみれば、非常に苦しい戦いだったと捉えられる。それは課題のひとつであることは間違いない。

 ただ、今大会で最も印象に残り、今後日本らしい本当の意味での“チーム”としての強さを取り戻すきっかけになるのではないかと予感させるのが、今大会の男子キャプテンを務めた本多灯の存在であった。

【やるべきことが明確に見えていることが本多がポジティブでいられる理由】

 本多は今大会、男子400m個人メドレーと200mバタフライに出場し、そのどちらでも金メダルを獲得。400m個人メドレーでは、この種目の日本の第一人者である瀬戸大也をラスト50mで逆転しての優勝。そして200mバタフライでは、予選から大会記録を更新。決勝でもその記録をさらに更新し、自己ベストに迫る好記録で優勝を果たした。

次のページ
北島康介と重なる本多の姿