――お嬢さんたちは今どうされているのですか?

 2人とも就職して、結婚して、働きながら子どもを産みました。それは、私が母親から譲り受けたように、娘たちに「結婚するのよ」「早めに子どもを産んだほうがいいよ」って刷り込んだから。卵子や精子の老化という科学的問題がありますから。子どもってね、反抗するけど、なんか刷り込まれて叶えようとするのかな、と思います。

公的保険以外の財源が必要

 私は今、4次元の会社にしようと言っているんです。2次元は薬などのモノをつくる、3次元は手術など含めて医療をつくる。再生医療はこれで、ここまではできた、と。次は社会の仕組みをつくる、それが4次元の会社です。医療のシステムを変えないと再生医療は広がらない。今の医療費抑制の中でイノベーティブな医療を進めるには、公的保険以外の財源が必要で、それには互助的な民間保険を活用するのがいいと私は言っています。そして、エビデンスのある自由診療という高度医療のカテゴリーをつくって、質が確保されたものにする。

――自由診療というと、医師会が反対するのではないですか? 国民皆保険は世界に誇る制度で、公的保険を使って必要な医療を受けられるようにするのが筋だ、と言っていたと思います。

 医師会の方に「皆保険を守るために必要です」と説明したら納得してくれた。これは今、私の中で一番ホットな問題です。自然科学でいくら頑張っても社会科学が進んでいないと社会実装できないとわかったから。50歳で「社会」に目覚めたんです。

研究メンバーと高橋政代さん(ビジョンケア提供)

【お知らせ】11月11日(土)、オンラインセミナー「研究者に聞く仕事と人生-アエラドットの連載から学ぶ」が東京理科大理数教育センター主催で開催されます。 

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