2022年の米国株の下落も影響したのか、全世界株式の人気がS&P500を上回る月があった。その魅力はどこに。買うべき投資信託7本も紹介。アエラ増刊「AERA Money 2023秋冬号」より。
新NISAでつみたてるインデックス型投資信託(以下、投信)の筆頭候補は、世界中の株に分散投資ができる「全世界株式」だと本誌は考えている。
2023年までのつみたてNISAでは米国の「S&P500」がダントツ人気だ。
中でも、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は2023年8月14日に純資産総額2兆5000億円を突破し、日本の公募投信(除くETF)でナンバーワンの規模を誇っている。
米国株100%の投信の次に人気なのが全世界株式。その代表格「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は純資産総額が1兆4000億円を超えている(2023年8月末現在)。全世界株式は国内投信全体で見ると3位。
2022年にはS&P500に陰りが見られた。米国の物価高とそれに伴う金利上昇で、この年のS&P500はドルベースで年間19%も下落したのだ。
ただ、その下落は長く続かず。2023年1〜6月のS&P500は高金利をものともせず16%も上昇した。この半年の上昇率は2000年代で過去2番目に高い。
「さすが米国株!」という勢いを見せているが、ここ10年間、世界最強だった米国株の勢いにかすかな衰えが見えるのも確か。
そうした状況はつみたてNISAなどを経由した資金純流出入額(設定額から解約・償還額を引いた金額)にも反映されるものなのだろうか。
そこで、低コストかつ正直な運用に定評のある「eMAXIS Slim」シリーズを運用する三菱UFJアセットマネジメントのデジタル・マーケティング部の野尻広明さんに貴重なデータを公開してもらった。
■オルカンは低解約率
「2023年6月時点で、『eMAXIS Slim』シリーズの『全世界株式(オール・カントリー)』の純流入額は611億円。
一方、『米国株式(S&P500)』は583億円。全世界株式が米国株式を上回りました。5月も、全世界株式のほうが米国株式より少し上という結果でした」