「全世界株式かS&P500か」という論争は根強いが、現在の全世界株式投信における米国株の組み入れ比率は約60%。
米国株式、全世界株式と並んで人気なのは先進国株式だが、こちらの米国株比率は約70%。
要するに、現状は米国株を自分の運用の中にどのくらい組み入れるかというグラデーション(段階的変化)の差にすぎない。
全世界株式投信の中で一番人気の「オルカン」の国別比率は米国株が59.7%。続いて日本株5.5%、英国株が3.5%(上の円グラフ参照)。
繰り返しになるが、全世界株式の国の構成比率は「ずっとこのまま」ではない。もし今後、米国株が失速したら、他の勢いのある国や地域の比率が高まっていくだろう。
全世界株式が連動しているMSCI ACWIオール・カントリー・ワールド・インデックス)という指数は、そのような仕組みで作られているのだ。
本誌が持つ資料によると、バブル期の1989年10月31日に、ACWIの日本株の組み入れ比率は40.19%でナンバーワンだった。
この月の米国株比率は32.05%。日本株は米国株より8%以上も上回っていた。
このことからもわかるように、全世界株式に連動する投信を1本持っていれば、国を選ばなくていい。
「米国株の勢いがなくなったら……」などという、プロでも正解がわからない不安に悩む必要もない。
組み入れ比率上位の企業についても同じ。2023年7月末現在、「オルカン」の組み入れ2837銘柄のうち、最も多く入っているのは米国アップルで4.5%。
この先アップルの業績が悪化し、別の企業が強くなったら、その企業がトップになるように指数の比率自体を自動的に調整してくれる。
実例としては、フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズ。
現在、「オルカン」の組み入れ比率で10位以内だが、2022年はネット広告の不振などにより株価が急落した。その影響でメタは一時、トップ10から脱落していたのである。
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