なお、7月は米国株市場の好調を受け、S&P500への純流入額が全世界株式を抜いている。
S&P500は米国株の調子がいいと買われ、下がると買われなくなる傾向が強いようだ。値段が下がった局面で買ったほうが効率的だと思うが……。
では、全世界株式の解約率は?
「投信全体やシリーズの他の投信と比べても、比較的小さいです。このことから、全世界株式は相対的につみたて投資の対象にしている方が多いことが予想されます」
そもそも全世界株式に連動する投信の長所は?
野尻さんが語る「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」(以下、オルカン)の魅力は3つだ。
(1)「オルカン」1本で世界中の株式に分散投資できる
(2)低コストで運用できる(長期投資においてコストは大切)
(3)純資産総額1兆円超の安定感「オルカン」なら①の分散投資が1本の投信を買うだけでできる
「『全世界株式』は世界経済の成長とともに多くの危機を乗り越えながら力強く推移してきました。
『オルカン』に投資すれば、投資対象国・地域を分散しつつ世界経済の成長を幅広く享受できます。
2023年7月末は米国株式の比率が59.7%ですが、過去をさかのぼると、時代とともに投資する国・地域の顔ぶれや投資比率は変わってきました。
新NISAでは非課税期間が無期限になることもあり、『その時代に応じて先進国と新興国に幅広く分散投資する』という全世界株式の運用方針が、長期投資のメリットとして意識されやすいのではないでしょうか」
難しいことは何一つ考えず、これ1本をつみたて投資して、ほったらかしで運用していれば、将来報われる可能性が高い。
この点が「オルカン」をはじめ、全世界株式に連動するインデックス型投信の大きな魅力だろう。
いつまでも非課税の運用が可能な新NISAでは、(2)の運用コストの低さもポイントになる。
「オルカン」の信託報酬は年率0.05775%(税込み/以下同)。コストの大切さを確かめるため三菱UFJアセットからもらった信託報酬計算シートを使って試算をしてみた。
仮に、信託報酬0.1%の低コスト投信と信託報酬2%の高コスト投信が、どちらも年率5%で値上がりしたとしよう。
両者に100万円を投資した場合、20年後の運用評価額は低コスト投信が286万円、高コスト投信は191万円。
リターン自体は同じにもかかわらず、信託報酬の差だけで最終的な利益に1.5倍近い差がついてしまうのだ。
信託報酬0.1%と2%で比較するのは極端すぎるが、0.5%ほど差がつくと利益面で気になるレベルに。