牧草に隠れるぐらいの幼熊を2頭連れた、100キロ級のメスグマ。クローバーを食べている。10メートル先に立つ米田さんを、鼻で探している=2020年7月、秋田県、米田一彦さん提供
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 今年はクマによる人身被害が、過去最悪のペースで増えている。しかも最近は、山の中ではなく、住宅地や市街地にも出没するケースが目立つ。人里近くで生息し、人への警戒心も薄いクマは「アーバンベア」などと呼ばれるが、クマはなぜ街にやってくるのか。そして遭遇したら、どう対処すればいいのだろうか。

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 環境省によると、今年7月までのクマによる人的被害は54件。記録がある2007年度以降、過去最悪のペースで推移している。出没件数も全国で7967件(7月末時点)にのぼる。

 問題は、人里近くに現れるクマが増えていることだ。

 昨年9月、仙台市青葉区のJR陸前落合駅前で、メスのツキノワグマが目撃された。同市の中心市街地から少し離れているといっても、マンションや住宅地、県立病院や高校などがある場所。しかし、付近では8月以降、人がクマに襲われる被害が相次いでいた。
 目撃された日の夜、街路樹に登っているクマが発見された。

 夜間であり、周囲には住宅地もあるため、通常ならば鳥獣保護管理法によって猟銃はもちろん、麻酔銃も発砲できない状況だった。しかし、「極めて危険な状況」と判断され、クマは麻酔銃を使って捕獲された。同市では初の事例となった。
 

 市と県警は合同で今年9月、住宅地にクマが侵入した際の対応を確認する訓練を実施した。市環境共生課の久保美喜課長は、こう語る。

「鳥獣保護管理法に基づき、各都道府県は人との軋轢が多い鳥獣への対応計画を定めています。宮城県の場合、クマについては、人身被害や農業被害の予防・軽減と、クマの個体数維持を両立することを目標としています。なので、住宅地などにクマが現れた場合、基本対応は『追い払い』で、『捕獲』は人身被害が差し迫ったときだけです。むやみやたらにクマを捕獲しているわけではありません」
 

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全国で相次ぐクマの被害