新しい料理番となった宮田さんに、秋篠宮妃の紀子さまはこんな条件を伝えた。
「週に1回、子どもたちにカレーを出してください」
秋篠宮家の食卓では、毎週火曜日がカレーの日に決まった。
紀子さまからは、二つの要望が伝えられた。「市販のカレールウを使わないこと」と「野菜を多く使うこと」である。
天皇家や宮家の食卓に並ぶ食事といえば、特別な献立を想像するかもしれない。しかし、市販の手軽なカレールウが使われることも珍しくなかったようだ。
宮田さんは、こう振り返る。
「妃殿下は、お子さま方に野菜をたくさん食べてほしいというお気持ちがあったのでしょう」
宮田さんは毎週、種類や味に変化をつけたカレーを秋篠宮家の食卓に出し続けた。
まだ幼い眞子さんと佳子さまの食がすすむよう、野菜を小さめに切った。リンゴやバナナ、乳製品で甘みとまろやかさを加えた欧風カレーが中心だが、チキンカレーやビーフカレー、秋にはきのこたっぷりのカレーも作った。眞子さんも佳子さんも、ペロリと食べてくれたという。
「何も残っていない白いお皿が厨房に戻ってくると、うれしくて胸をなでおろしました」
「日常の食事で結構ですよ」と秋篠宮さま
献立は、2週間ほど前に献立表をつくり、紀子さまの了解を得て決定する。
「天皇や皇族の食事というと、『豪華なものを召し上がっているのでしょう』と言われることも多いです。しかし、ごく普通の献立だと説明すると、みなさん驚きますね」