12月8日、岸田は衆院代表質問への答弁で「全額現金給付」を容認した。それでも批判は収まらず、今度は分割給付に矛先が向いた。一問一答形式の予算委で岸田が集中砲火を浴びるのは目に見えていた。
混乱の最中の10日ごろ、財務省から岸田のもとに報告が入った。自治体が年内に10万円を一括給付しても、後から国が5万円を補填できる――。岸田は言った。「できるんだったらやればいいじゃん。自治体に迷惑かけるのはよくないしな」
そして12日。公邸では、自治体が現金一括給付をする際の条件が話し合われた。用意された資料には細かな条件が書き連ねられていた。
秘書官の一人がこぼした。「これ、わかりにくいですね」
岸田は言った。
「そうだな。10万、年内、現金、一括、条件なし、でいこう」
政権の目玉政策は、あっさりとその姿を変えた。
受験生への対応「朝令暮改と言われようが……」
首相就任3カ月を迎えた22年1月4日、岸田は新年の伊勢参り後の記者会見で、自らの受験生への対応「朝令暮改と言われようが……」
首相就任3カ月を迎えた22年1月4日、岸田は新年の伊勢参り後の記者会見で、自らの岸田が11月に出したオミクロン株の水際対策強化の指示をきっかけに、国土交通省が日本に到着する国際線の新規予約を12月末まで止めるよう航空会社に要請し、混乱した問題と構造は同じだ。海外滞在の日本人が帰国できなくなる可能性が指摘されて批判が噴出すると、岸田は3日後に要請を撤回させた。官邸幹部は「みんな走りながらやっているからこうなる」と拙速さを認めた。