さしみちゃんが「都内の駅で一番行列ができる」という明治神宮前駅のエレベーター(撮影/家老芳美)

 予約した居酒屋で、「あんまり強くない」と言うさしみちゃんとちびちび飲んだ。お互いの趣味の話をし、映画「バービー」からバービー人形の話になった。

「私は車椅子バービーを買いたくない。タイヤと人格はセットだと思われがちですけど、車椅子は“単品”なんです。車椅子を降りたとき、どんな人格なのか考えられていないのかなって」

 学校では車椅子を体験する授業があったし、車椅子を使う人たちがいることも、知っていたつもりだった。でも、それ以上のことを、どんな日常を過ごしているのかも、私は知らなかった。それはつまり、車椅子の「人たち」が視界に入っていなかったということかもしれない。

 タイヤを抜きにして、その人たちがどう感じるかを考えれば、「どう接したらいいかわからない」場面は減ると思った。(編集部・井上有紀子)

AERA 2023年9月25日号より抜粋

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