(撮影:小黒冴夏/衣装提供:AnotherADdress)

 私は何よりも、自己肯定感をもつことが、幸せになるための重要なベースだと考えています。肯定できる自分がいろんな分野で増えると初めて、自分に自信が持てる。私は肯定することに苦労したので、いかに確立してきたのか、そのためにどう生きるのかを娘に伝えたかった。人生は困難に遭遇するものですから、ママのあの言葉が今この時の自分を救うなと思ってくれたらいい。それが、この本のもう一つの大きなテーマでもあります。

 娘にメッセージを贈るにはどんな手段がよいか色々考えた末、やはり「本」という形が手元に残ってよいだろうと。実は本のカバーにあるイラストは、私のパートナーが描きました。両親の愛がこもり過ぎた一冊です(笑)。

――読んでいると、セクシャリティーに悩み生きるなかでも、どこかカラッとした明るさや強さを感じます。

 私は小さいときから割と、ネガティブな考え方をするほうでした。それは両親の影響かもしれませんが、地元一番の進学校に行けなかったら人生終わり、といったことも言い聞かされていたので、自分の将来はどうなるんだと不安感を常に抱えていたというか。

 それでも進学校から東京の大学に出てくるころには根拠なき自信を持つようになり、ポジティブに変わってきました。

 スーパーポジティブになったのは、40歳ぐらいになってから。まさに、「女性」として生きることを選んでから、迷わなくなった。大丈夫、と思えるんです。自分の幸せを最大化するのが人生の目的なので、人からどう思われようが関係ないと、もう開き直りですよね。

 結果としてこの本が、世の中のトランスジェンダー当事者やその家族、そして広くLGBTQの方たちにとっても、なにか励ましのようなものになればよいなと思います。さらには、あらゆるマイノリティーの人たちを含めて、人生をどう生きるか、自分をどう確立すればよいか、今の時代に生き辛さを感じる多くの方に響くといいなと思っています。

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