自著について語る谷生俊美さん(撮影:小黒冴夏/衣装提供:AnotherADdress)

 日本テレビ「news zero」にコメンテーターとして出演し、映画プロデューサーとして活躍する、トランスジェンダーの谷生(たにお)俊美さんが8月末、『パパだけど、ママになりました』(アスコム)を出版した。「女性」として生きることへの決意、人生の喜びを共にする家族について書き切った。セクシャリティーの悩みを抱えながらの半生を自伝的小説としてつづった理由には、4歳の愛娘への思いがあった。

【写真】自著への思いを語る谷生俊美さん

*   *   *

――ご自身やご家族のことを、なぜ書こうと思ったのですか。

 トランスジェンダーの私自身を知ってほしいとか自伝を書きたかったわけではなく、全ては娘のためです。「パパだけどママ」という親のことを、娘にちゃんと説明したかった。

 やっぱり怖いんですよ。私という存在が理由で、将来娘がいじめられたり、からかわれたり、嫌な思いをしたりしないか。そうして、娘が自身の存在さえも疑問に思ってしまわないか。  

 娘が将来、この本を読むことで、自分はものすごく愛されて、両親が心から望んで生まれてきた人間なんだということを、はっきりと文字で確認できる。彼女に情報を与え、彼女を守る拠り所になってくれればという思いを込めています。親として尊敬してほしい、娘に嫌われたくない、という本音も含めて。

――兵庫で育った少年が世界へ向かっていくストーリーが紡がれています。それぞれのエピソードが「人生は」と娘さんに呼びかけるメッセージで締められ、とても印象的です。

 人生は選択の連続ですから、私がその時々に感じてきた思いを娘に書き伝えるならどういうことがあるかな、と考えて書きました。結果として、大切にしてほしいことを体系的にまとめられたかなと思っています。

次のページ
両親の愛がこもり過ぎた一冊に