就任1年目から3連覇を成し遂げようとしている中嶋聡監督の手腕も見逃せない。

「中嶋監督は育成と勝利を両立させた。投手では山岡泰輔を夏場から中継ぎ起用するなどバランスを考えている。打線では頓宮裕真、中川圭太、紅林弘太郎を粘り強く使い独り立ちさせた。調子が良い若手、特に俊足好守の選手を積極起用する。適材適所の采配には恐れ入る」(オリックス担当記者)

「夏場からは育成出身右腕の東晃平をローテーションに入れ実績を積ませている。野手でも育成から支配下登録された新人・茶野篤政、プロ2年目の渡部遼人などをスタメン起用するのが目立つ。中嶋監督の野球ができつつある感じ」(在京球団スコアラー)

 中嶋監督は2019年からオリックス二軍監督、21年から一軍監督となった(20年はシーズン途中から監督代行)。監督歴は二軍を含めて今年で5年目ではあるが、現役選手として一軍実働年数29年というNPB最長記録を持つ。現役晩年は兼任コーチを務めるなど、現場でのキャリアは長く、その間の経験を余すことなく生かせているようだ。

「監督就任時には『サメ(中嶋監督の愛称)が監督?他にいなかったのか?』という声が球団OBから聞かれたほど。しかしそういう評価も一変、今では『真面目な奴だから、すごく勉強したんだろうなあ』となっている。正しいことをやって結果を出し、評価されている」(オリックス関係者)

 現役通算29年間で通算804安打、55本塁打、349打点。ベストナインとゴールデングラブ賞をそれぞれ1度の受賞。90年代中盤のオリックスを支えた好捕手だった。指導者としてのキャリアはそこまで長くないが、今、チーム黄金時代を築き上げている張本人だ。

「オリックスはチーム編成と現場がうまく噛み合っている。ドラフトや移籍などの補強は名前より実力や潜在能力を重視。大阪・舞洲に新しくできた二軍施設を活用して若手を磨き上げる。そして現場経験豊富な中嶋監督を中心にチーム一丸となって勝利を目指す。本当に素晴らしい球団組織になりつつある」(在京球団スコアラー)

 フロントはチーム編成に全力を注ぎ、現場は育成、勝利を両立させる。球団として当たり前のことを地道に続けた。成し遂げようとしとしているリーグ3連覇は偶然ではなく必然だったようだ。

 先日18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神とともに関西地区は野球の話題で持ちきりだ。こうなったら両チームにはクライマックスシリーズも勝ち抜き、関西での日本シリーズを見てみたい気もする。

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