18年ぶりのセ・リーグ制覇を達成した阪神。8月に10連勝、9月には11連勝を記録するなど2位以下に10ゲーム差以上をつける独走で、その強さは完全に頭一つ以上抜けていた印象が強い。
では阪神のこの強さは来年以降も続くのだろうか。結論から先に述べると、その可能性は高いように感じる。その大きな理由の一つが投手も野手もベテランに頼った部分が非常に少なく、中堅、若手中心のチーム構成になっているという点だ。先発では昨年まで柱だった西勇輝と青柳晃洋が成績を落としても村上頌樹、大竹耕太郎、伊藤将司の20代中盤から後半の3人が揃って二桁勝利をマークするなど見事にその分をカバー。故障から復活した才木浩人、若手の西純矢も順調に成長している。野手もレギュラーで30歳以上は捕手の梅野隆太郎(32歳)と坂本誠志郎(30歳)だけで、主力の平均年齢は他の球団と比べても明らかに低い。外国人選手への依存度も低く、さらに成長が期待できる選手も非常に多いため、来年以降に成績を伸ばす選手が増える可能性も高いだろう。
もう一つ大きいのが、近い将来中心選手になりそうな若手の“プロスペクト”が多く、既に一軍でも経験を積み始めているところだ。投手では高校卒4年目の西純矢と及川雅貴が早くも一軍で戦力となっており、ルーキーで同学年の富田蓮も二軍では圧倒的な成績を残している。2年目の森木大智は昨年と比べて少し成績を落としているが、ルーキーの門別啓人が結果を残して早くも一軍デビューを飾った。野手ではドラフト1位ルーキーの森下翔太が二桁ホームランをマーク。他にも高校卒2年目の前川右京が一軍で20本以上のヒットを放ち、井上広大、遠藤成、井坪陽生も二軍で成績を残している。守備力の高いショートとして小幡竜平も楽しみな存在だ。ここで名前を挙げた選手はいずれもここ数年のドラフトで入団した選手たちであり、スカウティングが正常に機能している証拠である。また入団後に大きく才能が開花する選手も多く、トレーナーやコーチなど育成の面も充実していると言えそうだ。