
光、音、におい、肌触りなど、私たちを取り巻くさまざまな“刺激が原因となって引き起こされる「感覚過敏」――。不登校などの原因のひとつともされ、いま、壮絶な実態が明らかになりつつなるこの「感覚過敏」について、当事者でありながら「感覚過敏研究所」を13歳で創設した“起業家”としても注目される現役高校生・加藤路瑛さんによる『カビンくんとドンマちゃん 感覚過敏と感覚鈍麻の感じ方』(監修/児童精神科医・黒川駿哉 ワニブックス)の一部を抜粋しつつ、感覚過敏の子どもたちを待ち受ける「2学期」という大きな“壁”に迫る。
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“シャーペンをノックする音”で頭痛に
現在「感覚過敏研究所」を主宰する加藤路瑛さんは、自身が中学1年の後半から不登校となった経緯について、こう語る。
「最初からひとりを選んだわけではありません。中学校で新しい友だちをつくろうと僕も張り切っていたし、友だちに合わせようと頑張っていました。でも、うるさい教室にいると、まるで音の洪水。ずっと頭の中で音が鳴り響いていて、本当に落ち着けないのです」
加藤さんの入学した中学校は、屋上に校庭がある、都会の学校。そのせいか、休み時間などは元気の有り余った生徒たちのエネルギーが教室に満ちあふれ、とにかくうるさかった。
「このような表現をするのは失礼かもしれませんが、女子の甲高い笑い声は耳から脳まで響く。そのため、頻繁に頭痛を起こしていました。また、後ろの席から聞こえてくる“シャーペンをノックする音”が、僕にはまるで道路工事の音のように反響するので、授業どころではなくなってしまうんです」……。