ジャニーズ事務所が記者会見を開き、ジャニー喜多川氏の性加害を認めた。東山紀之氏を新社長に、新たなスタートを切る。新社長の手腕が問われる。
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「被害者のみなさまに心よりお詫び申し上げます」
藤島ジュリー景子氏(57)は、そう言うと深く頭を下げた。
ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題。9月7日午後、ジャニーズ事務所は都内で記者会見を開き、ジャニー氏の所属タレントへの性加害を認定。被害者への謝罪と補償をしていくとした。
この問題についてジュリー氏は当初、5月に「謝罪」とする動画とコメントを発表し、ジャニー氏の性加害については「知らなかった」と発言。この点についてジュリー氏はこう語った。
「あの時点では、事実認定するには至りませんでした」
ジュリー氏は9月5日付で社長を辞任し、所属タレントである東山紀之氏(56)が新社長に就任したことを明らかにした。またジュリー氏は代表取締役にとどまり、「ジャニーズ事務所」の名前は当面は変更しないとした。
新社長に就任した東山氏もジャニー氏の性加害について認め、こう語った。
「人生をかけ、命をかけ、この問題に取り組んでいきます」「この事実に真摯に向き合う覚悟です。被害者の方々への補償・救済はすべての出発点だと考えています」
声を上げにくい仕組み
記者会見に先立つ8月29日、ジャニーズ事務所が設置した外部専門家による「再発防止特別チーム」は、調査報告書を公表した。特別チームは元ジャニーズJr.ら計41人からヒアリングを行った。その結果、ジャニー氏には「性嗜好異常」があったと判断。1950年代から60年以上にわたり、ジャニー氏による性加害が「万遍なく」「広範に」行われていたと認定。被害者は、「少なく見積もっても数百人」とした。
なぜ、これほど大規模な性犯罪が、半世紀以上もまかり通ってしまったのか。
性犯罪被害者の支援に取り組む上谷さくら弁護士は、「支配関係が大きかった」と見る。
「絶大な権力を持ったジャニー氏がジャニーズJr.をデビューさせる権限を持っていて、その立場を利用しています。力関係を笠に着た、芸能界の半ば常識のような土壌があったのかもしれません。しかも被害者は中学生に集中していますが、中学生は性被害に遭っている時にまだうまく逃げることができませんし、声を上げていいのかも分からない。性加害の典型的な例です」