火は瞬く間に燃え広がった。京アニスタジオ(2019年)

アニメ「ツルネ」を見て「パクられた」

 青葉被告の弁護士は、事件当時、青葉被告は心神喪失もしくは心神耗弱で、

「よいこと、悪いことの判断がつかない状態」

 だったと、無罪あるいは減刑を主張。責任能力を争う意向を示した。

 犯行動機について、検察側は冒頭陳述で、

「事件の本質は筋違いの恨みによる復讐(ふくしゅう)。青葉被告は自身が書いた小説を盗用されたと一方的に思い込んで京アニに恨みを募らせた」

 と述べた。

 青葉被告は人間関係がうまくいかず、「人と関わらずに身を立てられる小説家」を志した。京アニが主催する京都アニメーション大賞に2つの小説を応募したが、落選した。

「10年越しで書いた小説は渾身の力作で金字塔。俺もやれるんだと自信満々で応募した作品が落選。それがパクられていることがわかり、恨みを募らせた」

 弁護側の冒頭陳述によると、青葉被告が「パクられた」と思い込んだ作品は、「ツルネ―風舞高校弓道部―」だった。

「ツルネ」は京都アニメーション大賞で審査員特別賞を受賞した原作小説をもとにした京アニの作品。高校の弓道部を舞台に青春模様を描いた内容で、2018年10月からテレビアニメとして放送された。青葉被告は「ツルネ」のテレビ放送をみて、

「パクられた」

 と思い込むようになったという。

暮らしとモノ班 for promotion
「更年期退職」が社会問題に。快適に過ごすためのフェムテックグッズ
次のページ
「『浮気性』『レイプ魔』などと言われた」