決勝・仙台育英戦は9回に代打で出場して四球を選んだ清原勝児(撮影/写真映像部・加藤夏子)

 今年の夏の甲子園で107年ぶりに全国制覇を飾った慶応。アルプススタンドから球場を飲み込むような大声援、選手たちは脱丸刈りでサラサラヘアーとグラウンド以外の話題でも大きな反響を呼んだ。

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 「慶応フィーバー」で盛り上がるなか、1人の慶応球児がマスコミ、ファンから大きな注目を集めた。清原和博を父に持つ清原勝児(2年生)だ。名前が甲子園でコールされると、球場全体から地鳴りのような大歓声がわき起こる。本大会は3試合で途中出場したが、3打数無安打。決勝・仙台育英戦は9回に代打で出場して四球を選んだ。勝児は神奈川県大会でも無安打に終わった。現在2年生だが、今年が野球部最後の夏になる。1年時に留年したため、高野連の資格規定で3年時は甲子園に出場できない。

 勝児は大会後にプロ野球を目指すことを目標に挙げている。その可能性をどう感じるだろうか。アマチュア担当のスポーツ紙記者は、こう語る。

「勝児は昨年の秋季大会から三塁のレギュラーを勝ち取り、今年のセンバツ2回戦・仙台育英戦に『5番・三塁』でスタメン出場しています。打撃の調子を落としたため、春季大会以降は途中出場が多くなりましたが、100人を超える部員の中で試合に出る実力は評価されるべきです。一番の魅力は直球に強いこと。打球速度が速いんですよね。課題は変化球への対応力。三塁の守備は決して下手な部類ではない。攻守でまだまだ伸びしろがある選手です。あと強心臓なんですよね。この夏の甲子園で代打がコールされて大歓声が起きた時、打席に向かう勝児の表情を見ると笑っているんですよ。緊張を緩和させるための作り笑いでなく、大舞台を心の底から楽しんでいる。清原さんも日本シリーズ、オールスターに強かったですが、息子にもお祭り男の血が引き継がれているなあと感心させられました」

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