本大会は3試合で途中出場したが、3打数無安打だった(撮影/写真映像部・加藤夏子)

2ランク、3ランク上を

 セリーグの編成担当も同調する。

「大学に入るまでの期間をどう過ごすかが大事になる。高校の練習に参加しているだけでは試合勘を養えない。もちろん練習は重要ですが、プロに入ることを目指すなら現状維持でなく2ランク、3ランク上を目指さなければいけない。孤独なトレーニングで自分を追い込む精神力の強さが必要です。また、慶大に進学することになると思いますが、プロへ行くなら地方の大学で力を伸ばすのも選択肢です。高校時代は全国的に無名だったけど、大学1年から出場機会がある地方リーグで一気に力を伸ばした選手は珍しくない。慶大だったらよほどの実力がなければ、なかなか出場機会のチャンスをつかめない。まあ、自分の息子だったら将来を考えて慶大に進学させますけどね(笑)」

 高校を留年したケースとは違うが、浪人を経て球界を代表する選手になったケースがある。その代表格が巨人、レッドソックスなどで活躍した上原浩治だ。巨人では入団1年目に20勝を挙げるなどエースとして活躍。メジャーではレッドソックスで世界一に輝き、日本人初のワールドシリーズ胴上げ投手になるなど救援で光り輝いた。日米通算100勝100セーブ100ホールドを達成した球史に残る大投手だが、高校時代は無名だった。東海大学付属仰星高では外野手で、打撃投手を務めることが多かった。3年時も控え投手で無名の存在だったが、1年の浪人生活を経て大体大に進学して投手としての才能が開花。ドラフト1位で巨人に入団し、サクセスストーリーを切り拓いた。

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