「社内のBM社担当の営業から、『今月、東京海上や三井住友海上はBM社にこれだけ入庫してるよ』と、圧がかかるんです。このメール(※下の写真)は、まさにその証拠です。『ピンチ継続中!』というのは、入庫件数が足りないという意味ですね。営業も営業で、相当プレシャーを感じていたと思います」

Aさんから提供された、BM社への入庫を促す社内営業メール。「MSに▲8台、TNには+3台(※三井住友海上の入庫数には8台負けていて、東京海上日動には3台勝っている、という意味)」「〇〇さん(※入庫紹介に携わる社員の名前)、頼みますよ~」などと、文面の端々に必死さがにじむ【画像の一部を加工しています】

 ちなみに、BM社同様に保険金水増し請求が発覚した、中古車販売大手の「グッドスピード」のことも、BM社ほどではないが、優遇する傾向にあったという。

「地域ごとに、力を入れている入庫先が3社ほどあります。BM社は全国展開しているので、どの都道府県でもだいたい最優先で推されていて、グッドスピードの工場がある地域だと、二番手三番手にグッドスピードが来る感じですね」

思考停止していた社内の空気

 では、BM社を筆頭とする特定企業への優遇に、社内で疑問の声はなかったのか。

 実はAさん自身、これまで特に問題だとは思っておらず、今回、国が動くほどの大問題に発展したことにショックを受けたそうだ。

「入社当時から“BMびいき”だったので、『あ、こういうもんなんだ』と受け入れていました。部署内にも『会社がよしとしているならいいか』っていう雰囲気があって、サラリーマンとして空気を読んでいたというか。完全に思考停止ですよね。風通しが悪い職場ではないけど、これだけの巨大組織なので、『自分一人が声を上げたところで……』と思う人もいたかもしれません」

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社長に対し、社員は“しらけモード”