「(今年の契約も)200勝を達成した時の盛り上がりを期待しての金額だったと言われている。200勝達成によって観客動員やグッズ、広告が増える相乗効果を期待していた。しかし想像以上に田中の調子が上がらずチームもBクラスに低迷するなど、見込みが外れてしまった」(楽天担当記者)

 渡米前のNPBでの成績が圧倒的だっただけに、日本球界復帰後の成績を見ると衰えも度々指摘される。

 だが、球界関係者からは衰えの中にも“光”が見えるという評価もある。帰国後の2年間は318回1/3を投げ(300回を超えたのは両リーグで10人)、与四球59個という制球力の高さは健在。防御率も昨季までの2シーズンでは3.16と圧倒的ではないが安定した投球自体は続けている。

「日本への帰国に際して、『いつでも MLBへ復帰して欲しい』という声が各方面から聞かれたほど。四死球を出さず球数少なく長い回を投げられる。先発投手に最も求められる資質を変わらずに持っている」(MLBアジア地区担当スカウト)

「渡米前のように大事な場面でギアを入れて力で押さえ込むような姿は少ない。しかし球を動かしながらコースを丁寧に突くことで、球数を減らし長い回を投げている。大人の投球、新しい田中のスタイルで投げている感じがする」(在京球団編成担当者)

 成績自体は下降しているものの、まだまだ戦力としてどのチームでも活躍できる余力もある。仮に楽天から好条件の来季契約オファーがなければ、チームを去る可能性もあるという。

「親会社・楽天本体の経営が苦しいため今のままではさらなる減俸は確実、来季契約が合意に達しない可能性はある。そうなった場合には国内外の複数球団が獲得に手を挙げるはずで、田中自身がどこを選択するのか。もちろん楽天残留の可能性もゼロではないとは思いますが……」(楽天担当記者)

「戦力としてはもちろんネームバリューは現在のNPBでもトップクラス。どの球団を選んでも今季年俸をベースに高い年俸が提示されることが予想される。それだけの投資をしてもビジネスが成り立つ投手という評価。今オフの獲得競争は加熱するはず」(スポーツマーケティング会社関係者)

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来季はどこのチームでプレーするのか