つまり、女性にとっては誰と結婚しても経済的条件を満たしたのが、戦後の結婚の特徴なのです。
「いまよりも、親よりも、よい生活ができると思える相手」というのが結婚の経済的条件であって、要は結婚前の生活との比較です。つまり、それまでの生活が貧しかったがゆえに、結婚後の生活が安定したり上昇したりするというわけです。だから戦後しばらくは、たとえ農家に嫁いだとしても、徐々に豊かになる家族というものが形成できたのです。
それは高度成長期が終わるまで続きます。貧しさを経験している昭和ひとけた生まれから戦中生まれ、団塊の世代までは95%以上の人が結婚しました。つまりこの世代のほとんどの人は、誰と結婚しても豊かな家族生活をつくれるという経済的条件を満たしていたと言うことができます。
要するに、上昇移動への期待があり、それが実現されていたからこそ、戦後から高度成長期までは、ほとんどの人が結婚する「皆婚社会」が成り立っていたわけです。