今季ブレイクを果たした阪神・村上頌樹
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 18年ぶりの“アレ”に向けてセ・リーグの首位を快走する阪神。その大きな原動力となっている選手の1人が今年3年目の村上頌樹だ。昨年までの2年間は一軍未勝利ながら、今年は開幕早々に先発ローテーションに定着すると、ここまでチーム2位タイの8勝をマーク。防御率1.89はセ・リーグでトップ、WHIP(1イニングあたりの被安打プラス与四球)0.74は規定投球回に到達している投手では両リーグでダントツの数字である。そんな村上は大学4年時の故障もあってドラフト5位(2020年)という低い順位での入団だったが、他にも指名順位こそ低いものの来シーズン以降に大ブレイクの可能性を秘めた選手はいるのか探ってみたいと思う。(以下、文中の成績は全て8月29日終了時点)

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 投手陣の若返りが課題となっているDeNAで楽しみな存在となっているのが2年目の深沢鳳介だ。専大松戸(千葉)では3年時にエースとして春夏連続で甲子園に出場。夏は明豊(大分)を相手に完封勝利をおさめている。スピードは140キロ台前半と驚くような速さはなかったものの、高い制球力が評価されてドラフト5位でプロ入りを果たした。1年目の昨年は体作りに長い期間を費やして実戦での登板機会は少なかったが、今年はここまで二軍でチームトップとなるイニング数を投げ、5勝4敗、防御率3.39とまずまずの成績を残しているのだ。

 高校時代からの変わらぬ武器はそのコントロールである。今シーズンここまでの1試合当たりの与四死球率は2個台前半と、チームの中でもトップの数字をマークしている。また与四球が14個に対して与死球は3個と比較的多く、それだけ内角を厳しく攻めている証拠でもある。昨年より明らかに体が大きくなって球威も増し、打者の手元で小さく動く変化球も持ち味だ。順調にいけばシーズン終盤の一軍デビューの可能性もあり、同期のドラフト1位入団である小園健太とともに将来の先発候補として期待したいところだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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