日本政府は敵基地攻撃能力を反撃能力と言い換えました。そして、「今まさに敵国が我々に向かってミサイルを発射しようとしている。その攻撃を阻止するために我が方が先にミサイルを飛ばすなりして破壊するのはあくまで反撃で、防衛のうちだ」と言っています。つまり、先制攻撃でも専守防衛になると。
確かに理屈としてはそう言えるかもしれません。けれども、この政府見解には明らかに無理があります。今まさに発射しようとしているのをどうやって知るのかという大問題があるからです。
結局、その情報はアメリカに全面的に依存することになります。つまりアメリカは、日本に対して本当のことを教えることもできるし、間違ったことを教えることもできるわけです。仮に本当のことを教えたとして、「今まさにミサイルを発射しようとしているぞ」とアメリカから教えられ、日本が敵基地を攻撃したとします。当然、敵国は「不当な先制攻撃だ」と猛反発します。日本は「お前たちがミサイルを発射しようとしていたのだから正当な防衛だ」と主張する。敵国は「そんなことはしていない、証明しろ」と言ってくる。日本は客観的証拠を持っているアメリカに「出してくれ」とお願いする。そのときアメリカは、その証拠を出すこともできるし、出さないこともできます。