今年も開幕一軍を勝ち取ると、リリーフとして好投。6月からは先発を任され、ここまで5勝3敗、防御率2.99と安定した成績を残しているのだ。ストレートは140キロ台前半と決してスピードがあるわけではないが、打者の手元で微妙に動くボールでバットの芯を外す投球が持ち味。またサイドスローながらフォークも上手く操り、球種も多彩だ。新たな“再生工場”の星として、今後も投手陣を支える活躍に期待したい。
パ・リーグでは首位を走るオリックスの山下舜平大が大ブレイクを果たし新人王の最有力候補となっているが、同じ高校卒3年目で嬉しい誤算と言える存在となっているのが楽天の内星龍だ。関西でも屈指の強豪である履正社の出身でチームは2年夏に甲子園優勝を果たしているが、内はベンチ入りしておらず、2年秋まで公式戦の登板はなかった。最終学年はコロナ禍でチームが出場予定だったセンバツ高校野球は中止となり、その代替として夏には甲子園交流試合が行われたものの、エースは前年夏の甲子園で優勝投手となった岩崎峻典(現・東洋大)で、内の登板機会はなかった。
しかし素材が高く評価され、8月に行われたプロ志望高校生合同練習会で好投したこともあってドラフト6位で楽天に入団。昨年までの2年間は二軍でも結果を残すことができていなかったが、今年はキャンプから結果を残すと、ここまで41試合に登板して3勝、7ホールドをマークするなど、ブルペンに欠かせない存在になっているのだ。球種は少ないものの、コンスタントに150キロを超えるストレートと、140キロ前後で鋭く落ちるスプリットは大きな魅力だ。まだまだ実績は乏しいだけに無理を強いるのは禁物だが、オフに4年契約が切れる松井裕樹が移籍するようなことになれば、新守護神候補の1人となる可能性は高い。
パ・リーグのルーキーでは育成ながらいきなりレギュラーをつかんだ茶野篤政(オリックス)や、内とともに若手の底上げに貢献している荘司康誠、渡辺翔太(ともに楽天)などが目立つが、密かに大きな戦力となっているのがロッテ2位の友杉篤輝だ。地方リーグの天理大出身ということもあって一般的な知名度は高くなかったが、それでも2位で指名されているというところに能力の高さが表れている。