AERA 2023年8月28日号より

 教員がアウティングしてしまう話も残念ながらしばしばある。「誰にも言わない」という前提で生徒が話したのに、教員がよかれと思い保護者や他の教員に勝手に話してしまうのだ。「信頼して話した子を裏切ってしまうので本人に同意をとってほしい」と遠藤さんは注意を促す。

 認定NPO法人ReBitが22年に行った孤独感に関する調査データによると、12~19歳のLGBTQで孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた割合は29.4%と、全国調査と比べ8.6倍も高い値が出ている。遠藤さんは言う。

「LGBTだと言えないことに加え、不登校やひきこもり、通信制の学校に通う子が多いことも関係すると思います。行きたくて通信制に行っていればよいですが『制服がないのが通信制だけだから』ということも多い。『本当は自分も部活をやってみたかった』などの思いを抱えていることもあり、孤独感は複合的なところがあります」

 大人たちがやるべきことは多い。まずは当事者の子どもたちが置かれた状況を知るところからだ。(ライター・大塚玲子)

AERA 2023年8月28日号より抜粋