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 教育において「遺伝」の話をすると、親がどう育てたとしても、結局子どもはなるようにしかならない、一生変わらないと考えてしまいがちである。そう言ってしまっては子育ても教育も意味がなくなってしまうので、ほとんどの育児マニュアルでは「遺伝の影響は全くない」と主張されることが多い。しかし、現実を見ると遺伝の影響がないとは言い切れないことが山ほどある。行動遺伝学者の安藤寿康氏の新著『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し、遺伝と環境の影響について紹介する。

【図】遺伝と環境が子どもに与える影響はこちら

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 子どもが育つ環境は家庭だけではありません。特に子どもが大きくなるにつれて、活動の場は家庭を離れて、学校や学校外へと広がってゆきます。このことは行動遺伝学でも、知能の個人差に及ぼす共有環境の影響が児童期から青年期、そして成人期に向かって徐々に減少してゆくことから見て取ることができます。その代わりに大きくなるのが遺伝の影響です。

 なんだ、やっぱり遺伝によって決まっているのか、親の役割は小さくなっていってしまうんだ、と嘆くには及びません。これはとりもなおさず、子どもが徐々に一人前に自立していることを示唆しているのです。

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感じ方や考え方に遺伝的素質が反映する