森氏は2004年から中日のヘッドコーチや監督を歴任したが、その間に現地のウインターリーグなどに出向いて助っ人の獲得ルート作りに奔走。ドミニカ共和国、ベネズエラ、キューバなどと強固なパイプを作り上げた。数々の助っ人を日本に連れて来たが、現在守護神のマルティネスも森氏が監督時代に自ら獲得に動いた選手だ。

「2010年以降は外国人との契約の全権を任された」と本人も語っており、多くの優良助っ人選手を発掘、獲得した。しかし2017年から務めた中日監督も2018年限りで退任、翌年限りでシニアディレクター職も離れたが「森ルート」と呼ばれる獲得経路の“名残”は今もある。

「『助っ人と言われる外国人選手は大きい存在』が森氏の持論。獲得時は映像などに頼らず、足を運んで自分の目で確かめることを大事にしていた。豊富な経験に基づいた選手を見る目が素晴らしく、真似しようとしてもできるものではない」(中日関係者)

 中日コーチに就任してからオフの中南米詣は、恒例行事だった。森氏はお眼鏡にかなった選手をリストアップし、渉外担当も兼任した。

「百戦錬磨で物おじしない性格の森氏だけに現地の人脈も広がった。年々、信頼関係も高まり多くの情報が集まるようになった。中南米のスペシャリストと言える人物。中日退団後、数球団が同ポジションでの招聘に声をかけたとも聞く」(在京球団編成担当者)

 中日の編成方針が変化したのは森氏の監督最終年となった2018年、ビシエドが首位打者と最多安打のタイトルを獲得したあたりから。ビシエドはキューバ出身だが亡命後に米国でプレーしていた時期に獲得した選手であり、中南米の「森ルート」以外の外国人が結果を残したことが理由だと考えられる。

「ビシエド同様のルートも多々活用したが、うまく行っていない。今季加入のアキーノもドミニカ共和国出身の選手だが、MLB在籍中だったので米国系ルートと言える。結果を出している投手陣は、森ルートの影響を受けた獲得と言えるので皮肉なものだと感じる」(中日担当記者)

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低迷脱出に森氏の“呼び戻し”も一つの手?