来年、宝塚歌劇が110周年、その代表作「ベルサイユのばら」初演から50周年を迎える。記念イヤーの演目は、伝統を受け継ぎながらも、新しい風を感じさせる多彩さだ。AERA 2023年7月31日号から。
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宝塚歌劇団は7月10日、本拠地の宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)での来年前半の演目を発表した。花、月、雪(リモート参加)、星、宙、全5組のトップスターがそろっての特別な会見だった。
演目はにぎやかだ。
1月1日、記念イヤーの幕を開けるのは、星組の「RRR×TAKA“R”AZUKA ~√Bheem~」。昨年公開され、世界中でロングランヒットしているインド映画の超大作「RRR」をいち早く舞台化する。一足先に公表され、「アクションとダンス満載の作品を宝塚が!」とすでに話題だ。
「歌劇でどう上演するのか。新たなステージを」と、星組トップスターの礼真琴(れいまこと)は張り切る。礼はダンスも歌唱力も抜きんでたスーパー実力派。熱いパワーが持ち味の星組にぴったりの演目ではないか。
■渡されていくバトン
振り返れば、2014年の歌劇100周年で幕開けを担ったのも星組だった。当時、トップの中のトップと評された柚希礼音(ゆずきれおん)がナポレオンを堂々と演じた。その時、若手が務める新人公演で主演したのが、柚希に憧れて宝塚に入った礼だった。
「節目の舞台に立たせていただける幸せをかみしめ、身が引きしまる思いです」(礼)
10年の時を経て、バトンが渡されていく。
2月からの花組はミュージカル「アルカンシェル~パリに架かる虹~」。ナチスドイツ占領下のパリが舞台の、演出家・小池修一郎書き下ろしの一本物だ。劇団随一のヒットメーカーがオリジナル大作を打ち出す。
宝塚は座付き演出家がスターにあて書きするのが伝統だ。華やかなダンス、深い演技で魅了する花組トップスター柚香光(ゆずかれい)が演出家の思いを受けとめる。
「世界中で争いが絶えない今、人々が健康で思いやりのある日々を過ごせるように平和への希求をこめて演じたい」(柚香)
記念式典が開かれる春真っただ中、月組のレビュー「Grande TAKARAZUKA 110!」では110期生が初舞台をふみ、フレッシュなラインダンスを披露する。
トップスター月城かなとは抜群の演技力で「芝居の月組」を体現、下級生を引っ張る。
「110周年を祝うレビュー。明るくさわやかな舞台をお届けしたい」(月城)