ネトとモニアクがともにドラフト1巡目指名(ネトは全体13位、モニアクは全体1位)を受けた選手でありポテンシャルの高い若手が台頭しているもの好材料だ。大谷は21日の試合で6回1/3を投げて5失点を喫したものの、打線の援護で今季8勝目をマークしている。日本のファンには「大谷が活躍してもエンゼルスは勝てない」というイメージがあるが、大谷が活躍せずとも打線の大量援護で勝った試合が出たことは良い兆候だ。

 大谷が勝負してもらえるかという観点で見ても、他の打者の調子が重要となりそう。トラウトは8月後半に復帰できるという報道もあるが、ここまでにいかに打線がチームをけん引できるかが、カギとなりそうだ。

 投手は打線に比べるとポジティブな要素は少なく、後半戦のチーム防御率はリーグ22位(4.99)。大谷もオールスターブレイク前から調子を落としており、先発投手には大黒柱と呼べるピッチャーは存在していない。だが、パトリック・サンドバル、リード・デトマーズ、タイラー・アンダーソン、グリフィン・キャニングら一線級ではないものの、試合を作る能力はある投手は存在する。

 一方、リリーフ陣はクローザーのカルロス・エステベスがまずまずの投球を見せてはいるが、その他で登板試合数が25試合以上の救援投手で防御率が2点台以下なのは左腕のマット・ムーアのみ。シーズン序盤は健闘していたものの、ここに来て信頼できるリリーフがほとんどいない状況になってきている。仮にトレード期限前に“買い手”に回るのであれば、先発投手以上に補強が必要な部分であるのは間違いないだろう。

 昨年のドラフト1位で入団したベン・ジョイスが“救世主”になれる可能性もあるが、6月に離脱してからこれまで復帰の具体的な話は出ていない。若手だけに無理をさせないことを考えると、やはりトレード市場で新たな救援投手を獲得する必要があるだろう。リリーフ投手はトレード市場で獲得できる投手は少なくないだけに、1枚とは言わず、2枚、3枚とチームに迎え入れることができれば……というところだ。

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エンゼルスは“買い手”?“売り手”?