立浪和義監督
立浪和義監督
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  前半戦を終えて最下位に沈む中日。低迷の要因として挙げられるのが、深刻な得点力不足だ。今季84試合で244得点はリーグワースト。1試合の平均得点は2.90と3点に届かない。

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 ただ、得点力不足は今年に限った話ではない。本拠地・ナゴヤドームは本塁打が出にくい球場だ。両翼が100メートル、中堅が122メートル、左右中間が116メートルで外野フェンスの高さも4.8メートルと他の球場に比べて高い。他球場なら本塁打の打球も外野フライやフェンスに直撃してスタンドを越えない。97年に開場以降、年間30本塁打以上を記録した中日の日本人選手は福留孝介、和田一浩(現中日1軍打撃コーチ)の2人のみ。本塁打王を獲得した日本人選手は1人もいない。

 セリーグ他球団のOBはこう語る。

「以前の中日の本拠地だったナゴヤ球場が狭かったので、ナゴヤドームが完成した時は本当に広いなあと感じました。この球場で本塁打を打つのは本当に難しい。遠くへ飛ばそうとすると、力んで打撃フォームを崩しますしね。投手にとっては天国のような球場ですけど、打者はキツイ。神宮、東京ドーム、横浜スタジアムと本塁打が出やすい球場と違って、長距離砲は育ちにくいと思います」

 この球場を本拠地で戦う以上は勝つために、「守りの野球」を志向するのは当然ともいえる。ナゴヤドームが開場した97年、中日は最下位に低迷した。当時の星野仙一監督は機動力、投手力強化を含めたディフェンスに重点を置いたチーム編成にシフト。韓国から李鍾範、サムソン・リーが加入し、阪神とのトレードを敢行。大豊泰昭、矢野燿大を放出し、関川浩一、久慈照嘉を獲得した。98年に2位に躍進すると、李や関川が中心選手として大活躍した翌99年に11年ぶりのリーグ優勝を飾った。

 落合博満元監督も「守りの野球」で黄金時代を築いた。二遊間で鉄壁の守備を誇った荒木雅博、井端弘和の「アライバ」コンビがフォーカスされたように、強固な守備力と強力投手陣で相手に点を与えない。落合氏が監督を務めた04年から2011年までの8年間全てのシーズンでAクラス入りし、リーグ優勝4度、07年には日本一に輝いた。

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僅差のリードで守り抜く姿勢を徹底