■確実な消火法とは
焚き火やBBQの火の扱いで注意すべきは、むしろ事後処理だという。一度消えたように見えても、炭や薪の中に火が残っていることがあるためだ。
「お話しした通り、炭火はなかなか消えません。ペットボトルやバケツで水をかけたぐらいでは消火しきれないんです」
確実に消すには、火消し壺に入れて蓋をして空気を遮断するか、大量の水に1時間以上つけておく必要がある。
「『炭は埋めればいい』という人がいますが、これは大きな間違いです。火のついた炭を砂浜に埋めたところ、その上を子どもが裸足で歩いて大やけどをしたという事故もあります」
埋めれば、空気が遮断されるのでは?
「掘り起こした土や砂には空気が含まれています。海外には地中に炭火と素材を埋め長時間火を通す調理法があるぐらい、炭は埋めてもじっくりと燃え続けるのです。また、火が消えた後も、炭は分解されにくいため、土に還(かえ)るということもありません。炭は確実に火を消して、燃えるごみとして処分してください」
焚き火の場合も同様だ。
「寝るときやその場を離れるときには完全に消火を。たとえば夜10時に火を消したいなら、9時ごろには薪を追加するのをやめる。薪一本が燃え尽きるのにかかる時間は、大きさや材質にもよりますが、経験を積めばわかるようになります」
■花火は着衣着火に注意
また、目的によって焚き火の大きさも変えるべきだという。
「調理目的なら火力も必要ですが、観賞用ならそれほど大きくする必要はないし、むしろ小さいほうがエモいでしょう(笑)」
早く燃やし尽くしたいときにはどうすればいいのだろうか。
「火ばさみなどで薪を立たせると、火は上へと燃えますから燃焼時間が短縮されます。『火のついた薪を砕いて時間短縮』という情報もネットにあるようですが、火の粉が上がりやすく、そもそも危険です。よほど慣れているのでなければ、やめたほうがいいでしょう」
花火は子どもたちにとって、最も楽しみな夏のレジャーの一つだろう。日本煙火協会の専務理事・河野晴行さんは、「近年増加している事故は、着衣着火です」と指摘する。
暑い夏は、ノースリーブや短パンなど、肌の露出が多くなる。火の粉でやけどするし、化繊素材でフレアスカートのようなヒラヒラした衣服は引火しやすい。
「商品の説明にある注意を守れば、事故は防げます。手持ち花火は持つ場所を間違えると危険です。一度にたくさん持つ、花火を人に向ける、なども危険行為です」(河野さん)
消火もしっかり行いたい。
「使い終わったらバケツの水にしっかりつけましょう。なかなか火がつかないときは、絶対にのぞき込まず、そのまま水につけましょう」(同)
花火の中身は、つまり火薬だ。少量でも燃焼力は強い。
「少量でも一般の人が扱えるレベルの火力ではありません。遊び終わったものでも未使用でも、絶対にポケットに入れないこと。また、ほぐして火薬をいじったり混ぜたりするのも厳禁です」
ひと夏の楽しい思い出を、事故やけがで悲劇にしないために、今一度確認しておきたい。
(ライター・浅野裕見子)
※AERA 2023年7月24日号