※写真はイメージ(gettyimages)
※写真はイメージ(gettyimages)
この記事の写真をすべて見る

 キャンプやバーベキュー、花火など、アウトドアが楽しい季節だ。だが、火は取り扱いを一歩間違えれば大事故につながる。守るべきはどんなことか。AERA 2023年7月24日号より紹介する。

【そろえて安心!着火&火消しグッズはこちら】

*  *  *

 コロナ5類移行後の夏休み、アウトドアのレジャーも活発化している。キャンプ場はどこも予約でいっぱいだ。そんな中、特に気をつけたいのが火の事故だ。5月下旬、死者を出した専門学校のBBQでの事故も記憶に新しい。

「子どもを連れてBBQやキャンプに行きたいですが、まだ小さいのでやけどが心配です。火の事故は怖いですね」

 そう話すのは都内の公務員、横山太一さん(37)だ。キャンプ歴は3年だが、「火おこしや焚き火は得意な仲間に任せっきり」になることも多く、試しては失敗し、ネットで調べて再挑戦の繰り返しだという。

 火の取り扱いでは何に気をつければいいか。日本BBQ協会会長で、アウトドア情報センター所長でもある下城民夫さんはこう言う。

「焚き火やBBQなどの『裸火』は自然そのもの。制御するために必要なのは、基本的な理科の知識と火を扱う経験です。闇雲に怖がるのではなく、学んで実践を重ねましょう」

 そもそも炭は、「燃えにくく、消えにくいもの」だという。

「ガスコンロの感覚ですぐに使おうと思うから、火おこしに焦る。急いで火力を上げようとして、アルコールや灯油、ホワイトガソリンなどの可燃物を投入するのは絶対に避けてください。本当に危険です」

 日本BBQ協会では、炭だけで2種類を使い分けている。

「炭にも着火しやすいものとしにくいものがある。それぞれの特性を生かして火をおこすんです」(下城さん)

そろえて安心! 着火&火消しグッズ/(左から)珪藻土素材の火消し壺(熱くならない)/チムニースターター(火おこし器)。上げ底二重構造で下に着火剤、上に炭を入れるだけでOK/グリルや焚き火台の下に敷く防炎シート(撮影/浅野裕見子)
そろえて安心! 着火&火消しグッズ/(左から)珪藻土素材の火消し壺(熱くならない)/チムニースターター(火おこし器)。上げ底二重構造で下に着火剤、上に炭を入れるだけでOK/グリルや焚き火台の下に敷く防炎シート(撮影/浅野裕見子)

■理科の知識で火おこし

 火おこし器(チムニースターター)は穴のあいた金属の筒で、上げ底の二重構造になっている。上げ底のすぐ上に着火しやすい炭→その上から着火しにくい炭の順に入れ、上げ底の下に着火剤を置いて火をつける。着火剤の炎が火のつきやすい炭に移れば、うちわなどであおがなくても火のつきにくい炭に広がっていくという原理だ。

「火は上へ向かって燃える、という基本を理解しましょう。燃料の性質も知っておけば、より火をコントロールしやすくなります」(同)

 炭と薪、それぞれの性質をまとめると次のようになる。

◯炭(BBQに使う)

 軽い炭は着火しやすく、燃えきるのも早い。重い炭は火はつきにくいが燃焼時間が長い。

◯薪(焚き火に使う)

 炭よりも早く火がつき、燃えきるのも早い。

◯炭と薪に共通すること

 大きいものは着火しにくく、燃焼時間が長い。小さいものはすぐ着火するが燃えきるのも早い。

 もし、BBQ中に火力を上げたくなったら、どうしたらよいのだろうか。

「着火前の炭を握りこぶし大程度に小さく砕いて、上にのせるだけでOK。多少うちわであおぐだけで、待っていれば強くなります。ただ、ガスのようなスピードはありませんから、早めに炭を足す。時間に余裕をもって計画することです」

次のページ