■きょうだいや親族で役割分担をする

 私は、施設への訪問や手続きなどは、きょうだいや親族で、役割分担することをおすすめしています。

 お金のことを担当する人、ふだんの、たとえば夏物と冬物の交換やちょっとした買い物など身の回りのことをする人、入院など緊急の場合に中心になって動く人、契約書などの書類の管理をする人など、負担を分散して全員でかかわることが無理をなくします。

 1人に偏ると、最初はよくても、いずれは「なぜ私ばっかり?」という思いが生まれて、きょうだい間の関係がぎくしゃくしたり、さらには入居している親に対しても、素直な気持ちをもてなくなったりします。

■親の快適な生活のためなら、施設への疑問や要望は大歓迎

 何度か面会に通ううちに、いろいろと疑問や不満は出てくるものです。入居者本人が、介護スタッフに言いづらくて、我慢しているようなこともあるでしょう。おとうさん(おかあさん)を見て、家族の目だからこそわかることもあると思います。

 かつて私が勤務する施設でこんなことがありました。母親が入居している女性から、「母は社交的な人なのに、なぜレクリエーションに参加したがらないのでしょうか。何か問題が起きているのでしょうか」と聞かれました。担当スタッフが、母親本人から話を聞いたり、ほかの職員に母親の生活ぶりを確認したりしました。

 その結果、参加したがらないのは午前中のレクリエーションで、午後は楽しそうに参加していること、夜眠れないことがあって、午前中はあまり動く気がしないことなどがわかりました。母親は不眠が毎日ではないので、言うのを遠慮していたということでした。女性にも話をして、睡眠を十分とれる工夫を実践することで、午前中もレクリエーションを楽しむことができるようになりました。

 このように、お年寄りの気になる変化には、原因がわかりにくい場合もあります。このケースでも、女性の申し出があったことで、スタッフの観察がより充実して、おかあさんの眠れない状態が明らかになり、改善に導けました。

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