もう一つの負のレガシー「マスコミ支配」は弱まっているように見えるが、安倍政権に支配されたマスコミは、政権からの度重なる攻撃もあって真実を伝えることができず、国民の信頼を失った。N H Kを除き、そもそも取材を行う資金を得るための経済的基礎を失いつつある新聞各社などでは、まともな記者の退社が相次ぎ、さらに取材費もままならない。忖度の気風も残るが、それ以上に現場で人も金もないために取材できないことの影響が大きい。薄々おかしいとわかっても、取材していないから裏が取れず、結果として政府や企業の発表を報じて終わりとなる。
政府の圧力がなくても、政府批判の記事は自然と少なくなってしまうのだ。
さらに3つ目の負のレガシー、安倍政権以降の「地に堕ちた倫理観」は官界財界にも伝播し、社会全体が悪い方向へ向かう力が働いている。
以上をまとめて言えば、政府内で心ある官僚という歯止め役が失われ、社会での歯止め役となるマスコミの力も劣化した。そして政官財では逆に倫理観喪失で悪い方向に向かうベクトルだけ強くなっている。妖怪が跋扈するには絶好の環境ではないか。
このような社会は一般市民を変えていく。
まず、マスコミの機能不全で正しい情報が得られない。ネット情報への依存が高まるが、そこでは、強化された岩盤保守層のフェイクニュースが飛び交い、リベラルと見られる言論も対抗上先鋭化し、信頼できる情報は相対的に減少している。このような状況は、妖怪に対する市民の抵抗力を著しく弱めていると見て良いだろう。
政府発表の報道が幅を利かせるので、世論はどうしても保守化し、選挙を何回やっても、自民党が勝利。選挙に行く意味がわからなくなり、投票率が下がる。
投票率低下は、組織力の弱いリベラル層や無党派層に不利になるというだけでは済まない。保守層の中でも、ロイヤリティが高く必ず投票に行く岩盤保守層の重要性が相対的に高まる。