なぜなら、「戦略なしのゴリ押し」でも、ものすごく時間をかけさえすれば、勉強はできてしまうからです。
大学受験などは、とくにそうですね。出題範囲は決まっているので、ものすごく時間をかけて、それを網羅するような勉強をすれば点数は取れます。
このような勉強の体験が染み付いていることにより、「気合で時間をかけることこそが正しい」と大人になっても信じている人が多いことに、私は問題意識を抱いています。
いっぱいやったらできる。そんなことは当たり前なんです。
もし、あなたの人生において、勉強が一番大切で、勉強が一番好きなことだとすれば、ゴリ押しで時間を使ってもいいと思います。
でも、皆さんには、そんなヒマはありませんよね。
たとえば、社会人の方ならば、仕事や家庭、趣味と両立しながら、勉強もしないといけないことでしょう。
勉強に時間を割きつつも、ビジネススキルも磨いて、社内でのパフォーマンスをきちんと高めて、最終的なビジネス上の成果を出さないといけない。
それなら「とにかく時間をかけて量をこなそう」なんて言っていられません。
ここで気づくべきは、「時間」はみんな等しく有限だけれども、「効率」はやり方によって変えられるということです。
「たくさんやった方が成果はでる」というのは、確かにそうです。ただ、戦略を立てるか立てないかで、たくさんやったときの効果はまったく違ってきます。
また、どうせ勉強するなら、ちゃんと戦略を練ったうえで、「時間あたりの学習の生産性」を最高に上げた状態で行った方がいいでしょう。
■戦略を練るためには、全体像から捉える
では、どうやって戦略を立てればいいのでしょうか? 戦略というのは、全体像が見えていないと立てにくいものです。
たとえば、初めて本格的に野球というスポーツをするとき、あてずっぽうにやってもなかなか上達しません。
「とりあえずバッティングしてみよう」とテキトーにバットを振り回しても、いつまでもボールには当たらない。