俳優として着実にキャリアを重ねながら「気持ちは常に新人俳優」というSixTONESの松村北斗さん。初の探偵役に挑む、7月29日に放送開始予定の連続ドラマ「ノッキンオン・ロックドドア」では何を掴むのか──。AERA 2023年7月17日号の記事を紹介する。
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――ドラマ「ノッキンオン・ロックドドア」は青崎有吾の同名小説を原作に、二人の探偵が奇妙な難事件に挑む本格ミステリードラマだ。松村は不可能犯罪のトリックを解明するのが得意な御殿場倒理(ごてんばとうり)を演じる。頭の回転が凄い半面、傍若無人な言動を繰り出す一風変わった人物だ。
松村北斗(以下、松村):今はまだクランクイン前で、とにかく台本を読み込んでいますが、シンプルに苦戦し始めているのが台詞です。トリックを説明していく場面ではどうしても長台詞になる。長台詞に苦戦したこと自体、これまでは一つの作品に1回あるかないかだったのが、毎話経験する事態になるかもしれません(笑)。
事件が起きて謎を解いていく状況は当然ですけど、倒理自身も、現実世界ではなかなか出会わないキャラクターだと思う。喋り方も、話し言葉っぽくない「~だ」みたいな語尾だし、傍若無人なひねくれキャラだけど妙にかっこいいというか、みんなに愛されてしまう羨ましい人物なんです。いつもは「自分だったら」と、自分の人生を思い返してみることが役に生きてくることもありますが、今回に限ってはそうじゃない。むしろ、どれだけ「自分だったら」を排除できるかが重要になると思う。その分、一つの新しい世界をみんなで創り上げていく面白さと、緊張を感じています。
■圧倒的なスキル不足
――どう演じればいいのか迷ったときは、キャラクターの資料を読み込む。そこにはドラマには出てこない倒理のバックボーンなど、人物像の隙間を埋める細かいプロフィルが書かれている。
松村:(監督の)堤(幸彦)さんとお話ししたときに「どこか笑える作品でもありたいよね」とおっしゃったのが、全体を通して大きなヒントになっていて。その資料を読むと、台本をいくら読んでも理解できなかったことが、「あ、そういうことか」と、一旦の正解が見えてくることも多くて本当に助かっています。
それでも、まったく意味が分からない箇所もあって。先日、本読みでそのシーンがきたとき「うわぁ、あのわかんないとこがきた」と内心、焦っていたら、堤さんの方から「あ、ここはこういうことをやってほしいんです」と、分かりやすくアテンドしてくださったんです。それがものすごい安心感で。だからもう、今回はとにかく堤さんについていけば大丈夫だと思う。迷いはないですね。ただ、やるべきことは理解できても、それをどう表現すれば伝わるか、こちら側は圧倒的なスキル不足なので、その溝を埋めるためにも周りの方々に教えていただきながらやっていこうと思っています。